路地のある家
「家」という定義を、あなたはどう考えるだろうか。駐車場があって、玄関があって、廊下があってリビングあって…
そんな常識のような考えが思い浮かんでくるが、この家の設計はもっと純粋に、住み手の要望から形が出来上がっていった。
釣りに行ったりBBQをしたり、もともとアウトドアなご家族であり、その延長でご友人も多く来られるという賑やかな暮らしがご要望であった。そこで、ロフトのあるガレージをつくり、趣味の車いじりやアウトドアグッズの保管場所になり、ロフト部屋はご友人が泊まりに来た時の寝室にもなるように設計された。また、この家には玄関ドアは無く、ガレージと母屋の間の路地のような空間に大開口のサッシが連続で並び、そのサッシがそのまま玄関になる。母屋と、屋根のある路地とガレージ、そして庭をぐるぐると走り回る子ども達の姿や、ガレージで友人家族とBBQをしながらわいわい遊ぶ姿、そんな遊び心が込められた路地のある平屋が完成した。
プライベートな大きな庭
この家の南側は誰も入ることのないプライベートな丘が広がっている。
そこで、南側へ大きく連続した開口を設け家の内部を明るく、そしてあたたかくしてくれるよう計画した。また、夏は陽射しをカットできるよう1mほどの軒がはね出しており、パッシブデザインも施されている。庭でのびのび遊ぶ子ども達を家の中から見守るシーンが思い浮かばれる。
路地
母屋とガレージに挟まれた部分は、幅1m80㎝ほどのゆとりのある路地になっている。母屋ー路地ーガレージー庭と屋根で守られた空間にひとつなぎで回遊できるようになっている。この路地が、家の中へと来た人を誘うかのように、奥への期待感を演出している。
開放的なLDK
路地や庭を見渡せる大きな開口をもつ内部空間は、仕切らず、広々とワンルームになっている。
25坪という小さな延べ床面積とは思えないほどの開放感を与えるのと同時に、コンパクトな家づくりは温熱環境の均一化にも一役買っている為、電気代も通常の大きさの家よりもコストダウンできるのである。
寝室へのアプローチ
寝室へはこの踏み石を渡ってアプローチする。家の中にも遊び心が凝縮されている。
ロフトへの階段
ロフトへの階段は、工事で使う仮設梯子で上り下りする。アウトドア仕様のガレージの雰囲気とちぐはぐにならないように素材や使う資材を選定していく。
寝室にもアイデアを
寝室にも建築家のアイデアが隠されている。一つは、寝室に備えられた収納部分は、扉などの重々しい仕切りではなくカーテンで仕切るようになっている。これにより軽々と開け閉めが可能になり、また季節や好みに合わせて布を自分好みに変更することができる。
二つ目に、造作のベッド台を製作した。天板に換気孔が空いているが、そこに指をいれると天板が外せるようになっている。そこはベッド下収納としてそのまま活用することができる。
造作洗面台
特に要望の多い洗面台は、施主の要望が多く取り入れられる場所になります。
DIY可能なガレージ
ガレージ内にはOSBボードといわれる木板が貼られており、施主自ら好きな位置に棚を付けたり工具をひっかけたりすることができます。
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