街へとつながる土間空間のある、2世帯が暮らす平屋住宅
町屋造りが立ち並ぶ場所に、古くなった実家を建て替える計画をしたい、それが最初の出逢いでした。かつては写真館として街と人の歴史をレンズを通して紡いでいたこと、建物としてもかなりの歴史を改修・増築を重ねながら次世代へと繋いできたこと、この建物にはとても長く深い時間の連なりが刻まれていました。特に大事にしたのは、「空間性の継承」「公共性」この二つでした。町屋特有のワクワクとする迷路性、家が隣接する連続性、内部と外部が繰り返される複雑性等、元々あった建物の持つ空間性を継承し歴史性を紡ぎたいと考えました。また、外皮外内部の土間空間は招いた人々とここに住む家族が繋がる「公共」の場になります。写真館の持っていた公共性を引き継ぎながら、この家は再び街の一部となり愛されていくはずです。プライベートな「私」の空間と、公共性のある「公」の空間をグラデーションで緩やかに繋げながら、ここに暮らす家族だけの充実と、社会へと接続し街の発展へ繋げたいという想いが込められた2世帯の平屋住宅が完成しました。