益田市は水害を受けやすい?過去の災害にみる災害リスク
島根県で記憶に新しいのは、2023年7月豪雨。山陰沖に停滞した梅雨前線に暖かく湿った空気が流れ込んだことによって、大気の状態が不安定となり記録的な大雨をもたらしました。この大雨によって、出雲市では1人が亡くなり、松江市や出雲市では住宅の一部破損、益田市では床下浸水の被害が見られました。
高津川の下流域にある益田市は、低平地に市街地が広がっていることから、水害を受けやすい地形だといわれています。1983年7月の豪雨では、がけ崩れや土石流、洪水など甚大な被害を受け、旧益田市の死者・行方不明者は32人以上。家屋の全半壊や流失は島根県全体で合計3,000棟以上にも上りました。
参考元:中国新聞|島根県で線状降水帯 車が川に転落1人不明、松江・出雲の全域で37万人に避難指示参考元:気象庁|令和5年7月7日から10日にかけての梅雨前線による大雨について
参考元:島根県|7月8日(土)からの大雨に係る被害状況等について【第14報】参考元:国土交通省|日本の川 - 中国の一級河川 - 高津川 - 参考元:山陰中央新報デジタル|【写真特集】「58豪雨」から40年 当時の被害を写真で振り返る(Sデジオリジナル記事)
ハザードマップで確認!益田市の災害リスクが高いエリアは?
豪雨による洪水や土砂崩れの被害を受けやすい益田市で、災害に強い家をつくるためには、家を建てる立地がとても重要となります。ここからは、災害別のハザードマップを見ながら、益田市で災害リスクが高いエリアを確認していきましょう。
水害・土砂災害のリスクが高いエリア
益田市の洪水・土砂災害ハザードマップは、国土交通省と島根県が指定した河川の周辺が対象区間です。対象となる高津川や匹見川などの河川が氾濫した場合に、浸水が想定されるエリアや、土石流やがけ崩れへの警戒が必要な箇所を示しています。
益田市内に流れる高津川は、流域面積が県内の全面積のおよそ16%を占めるほど大きな河川です。1983年7月の豪雨をはじめ、1997年7月の台風など、約30年に一度の頻度で大洪水が発生。洪水・土砂災害のハザードマップでも、横田町・安富町の国道187号以西など、高津川周辺エリアにおいて洪水による家屋の流失・倒壊のリスクが高いとされています。
参考元:益田市|洪水・土砂災害ハザードマップ参考元:国土地理院|重ねるハザードマップ(益田市)>>お隣の浜田市のハザードマップと注文住宅を建てるときの水害対策について詳しくはこちら
地震・液状化のリスクが高いエリア
益田市には、北東から南西方向にまたがる弥栄断層帯(やさかだんそう)が位置しています。益田市の地震ハザードマップでは、弥栄断層帯を震源とした地震を想定。揺れやすさを震度階級で表しており、市内全域では少なくとも震度5弱、断層帯がまたがる美都町、匹見町、波田町、長沢町、猪木谷町などの広域では震度6弱と想定されています。
また、地震ハザードマップでは、地震の強い揺れによって泥水のようになる「液状化」のリスクも確認できます。液状化は、地下水位が高く砂質がゆるい地盤で、地震後に見られる現象です。液状化が起こると、地盤が沈下して建物が傾いたり、破損したりする恐れがあるため、家を建てるときには液状化リスクがあるエリアは避けたほうが良いでしょう。水害のハザードマップと同様に、河川周辺エリアに液状化リスクがあるとされています。とくに、益田川と高津川にはさまれた河口付近のエリアや、高津川以東の横田町・安富町エリアでは液状化の危険度が高いとされています。
参考元:益田市|地震ハザードマップ
益田市の津波リスクは?
海に面した益田市では、津波のハザードマップも作成しています。このマップは、島根県が公表した「津波浸水想定」と「島根県地震・津波被害想定調査報告書」にもとづき作成。益田市に影響がある「青森県西方沖合断層」「島根県西方沖合断層」「浜田市沖合断層」の3つの地震を対象とし、津波浸水想定図を示しています。
益田市内において、津波が想定されるエリアは、おもに海岸線や河川周辺などの一部エリアに限られています。また、益田市内は海岸付近や河川周辺を除いて、多くの地域が標高20mの高台となっています。しかし、標高20mのエリアでも避難の必要がないわけではありません。万が一のことを考えて、高台などの避難場所を確認しておきしょう。
参考元:益田市|津波ハザードマップ参考元:国土地理院|重ねるハザードマップ(益田市)
万が一被災したら?益田市で受けられる災害支援制度
災害時に強い家を建てるためには、災害リスクの低い安全な土地を選ぶことがポイントです。しかし、災害はいつどこでも起こりえます。万が一、被災してしまったときには自治体の災害支援制度を活用できます。
国や地方自治体などでは、被災者の生活再建を支援するため、被災した状況に応じたさまざまな支援制度を用意。大規模な住宅の修繕が必要な世帯に給付される「被災者生活再建支援制度」や、国税の減免・猶予が可能な特別措置などが用意されています。
益田市でも、災害被災者に対する見舞金支給に関する条例があり、建物の区分や被災状況に応じて以下のような見舞金が規定されています。